近年、退職後田舎でゆっくり暮らしたいという中高年が増えています。雑誌やテレビでも特集が組まれ、目にすることが多いと思います。しかし、実際の田舎暮らしは良いことばかりではなく、耐えきれなくなって都会に戻ってくる人も少なくありません。

大切な貯蓄をつぎ込んで無駄にしないために、十分な知識と準備が必要です。今回は、定年後の移住で失敗しないために考えておくべき3つのポイントをご紹介します。

まず、第一に考えるべきことが現金収入の方法です。働かなくても余生を過ごせる貯蓄や、十分な年金がある人は別ですが、田舎は現金収入が非常に困難な環境です。農業をしたとしても、販売ルートや組合があるため、勝手に現金化することはできません。

土地が安く、一軒家を購入するのは難しくないので、都会のように住居費にお金がかかることは少ないと思いますが、光熱費などは都会よりむしろ高いくらいです。その他、町会費や共益費などの出費も多く、物価も決して安いわけではありません。

また、交通機関の発達した都会では、必要のなかった車も田舎では必需品です。車の維持費やガソリン代など、今まで必要のなかった出費が重なります。気が付いたら、貯蓄を崩しながら生活することになるかもしれません。自分に合った方法で、現金を得る仕事を考えておくと安心です。

次に考えておきたいことは病院の問題です。中高年には健康上の不安を抱える人が少なくないと思います。今まで丈夫で元気だったとしても、いつ病気になるかわかりません。都会では、近くに総合病院が数多くあり最新の医療を受けられますが、田舎では病院自体の数が少なく、住居から遠く離れている場合もあります。

持病のある人などは、いざという時のために、かかりつけの医師に紹介してもらったり、自分の病気を診てもらえる病院を探したりしておきましょう。

田舎暮らしで一番我慢できないのが、人間関係だと言われています。長年会社や都会のルールで生きてきた中高年の人は、なかなかローカルルールに馴染めないというのが原因です。

田舎は都会と違い、地域の人間とのつながりが深いです。時には不快に感じてしまうほど干渉されたり、地元ルールを押し付けてきたりする場合もあります。でも地元の人にとってはそれが当たり前。そうやって暮らしてきたので何の悪意もないのです。

逆に、家の周りに人が少なくて、夜になったら真っ暗。知人もいないため外出しなくなる人も多いようです。家に閉じこもってしまうと老けこみます。これでは、何のためのスローライフかわかりません。

こんなことにならないように、不動産屋だけで決めずに自分で足を運んだり、滞在型地域体験プログラムなどを利用したりして、地元の人々とコミュニケーションを図ってから移住先を決めましょう。

夢に見た田舎暮らしに失敗して、結局子どもや親族に迷惑をかけることにならないよう、
しっかり事前に調査して、自分らしい生活ができるように準備することが大切です。