以前の回で、定年後に田舎で暮らすための知っておくべきポイントについてお話しましたが、今回はもう少し掘り下げて、田舎暮らしのメリットとデメリットをご紹介します。自分が田舎暮らしに適しているか、移住の検討材料にしてみてください。

メリットの1つめは、やはり季節を感じながら、暮らすことができることができるということです。都会では忙しさもあって、季節を感じることが少なかったのではないでしょうか?しかし田舎では、毎日が豊かな自然とのふれあいです。

春に咲く可愛らしい花や木々の芽ぶき、夏の高い空や積乱雲、色鮮やかな秋の紅葉など、懐かしい気持ちとともに、人間本来の営みを思い出させてくれます。

2つめのメリットは、野菜や果物が美味しいことです。水や空気がきれいなため、新鮮な野菜はびっくりするほど美味しく、都会で食べていたものとは別物のように感じます。

近隣の農家の人と親しくなると、採れたての野菜を分けてくれたり、精米したての新米を安く売ってくれたりします。それがきっかけで地元の人々とのふれあいも円滑になってきます。

3つめは土地が安いことです。東京では夢のマイホームも、田舎では実現できる可能性があります。あるいは、若いころに建てた家と違い、夫婦2人の老後の生活を考えた、使い勝手の良い家を建てることもできます。時間はたくさんあるのですから、夫婦で楽しみながら計画するのもいいでしょう。

デメリットとして、まず挙げられるのが生活の不便さです。田舎は全てにおいて、都会ほどインフラが整っていません。コンビニやスーパーなど日常生活に必要な施設が少なく、病院や市役所に行くのも半日がかりなんてことは少なくありません。

意外と盲点なのが金融機関の少なさです。都会で暮らしていた人は、多くがメガバンクを利用しています。しかし田舎には金融機関が少なく、メガバンクの支店どころかATMさえない地域もあります。退職金の運用や年金の受取を考えると、地元銀行やゆうちょ、農協に口座を開設するしかありません。

地方ならではのルールもデメリットの1つだと感じる人もいるでしょう。地方ではごみ分別が都会より厳しく、ゴミ袋に氏名と地域名を記入しなければならないところもあります。

そのうえ違法投棄を防止するために、見張り役としてゴミ置き場に立つという当番まで回ってきます。都会と違うローカルルールに、煩わしい気持ちになることもあるでしょう。

都会に住んでいても同じですが、不便な田舎では介護の問題を考えておくことも大切です。
車が必需品の田舎の生活で動けなくなったり運転できなくなったりしたら、パートナーは生活が困難になってしまいます。

いかがですか?夢の田舎暮らしを実現するには、楽しいことばかりではありません。自分が本当に向いているか見極めることが大切です。とは言え「住めば都」の言葉通り、慣れれば馴染んでくるものです。デメリットばかりくよくよ考えず、自分らしいシニアライフを満喫しましょう。