温暖な気候、美しい海、南国風の文化が魅力的な沖縄。日本にいながらリゾート気分が味わえる沖縄は、観光地としてだけではなく移住先としても人気の高い地域です。そんな沖縄には年間2万人以上が移住していますが、さまざまな理由で挫折し、都会に帰ってくる人も少なくありません。

沖縄に限らず他の地方でも、「仕事がなくて生活が苦しくなった」「地元に馴染めなかった」「サイトや情報誌に頼り過ぎていた」など、思い込みや情報不足で移住を実行してしまった人に失敗が多いようです。

今回は、事前に地元の人々との交流や農業体験など、地域生活を体験することで移住後の生活をシミュレーションし、移住を失敗に終わらせないための体験プログラムについてご紹介します。

地域体験プログラムには、日帰りから2泊3日程度の短期型ツアーと、中・長期型の体験居住プログラムの2種類があります。地域体験プログラムに参加する前に、東京や大阪などの都会で頻繁に開催されている、「移住・交流セミナー」などのイベントを活用してみるのも良いでしょう。

近年は、地元の自治体が中心になって開催している、短期型の移住・交流体験ツアーが増えています。観光で訪れる場合とは違い、生活にポイントを置いたツアー内容になっており、スーパー、病院、金融機関などの生活エリアを散策したり、農業体験や特産品の手作り体験などが組み込まれたりしています。

Uターン・Iターンした住人との懇親会が用意されている地域もあり、実際の体験談を聞くことができます。費用も手頃なので、移住候補地として気になる地域のツアーに複数参加して、比較検討するのも良いでしょう。

ある程度候補地が絞り込めていて、時間に余裕がある場合は、中・長期型の地域暮らし体験プログラムに参加することをおすすめします。半月から1カ月の期間生活をしてみると、短期間訪れただけでは分からない、その地域での暮らしが見えてくるし、地元の人々との交流も深められます。

移住の意思が固くても、見知らぬ土地で新たな生活を始めるには、どうしても不安や心配が付きまといます。できるだけ不安が解消できるように、定期的に訪問してみるといいでしょう。

例えば、田植えの時期や収穫期に定期的に行って農業体験を積み重ねれば、営農サイクルを知ることができ、地元で農業をやっていく自信につながります。また、地元のイベントや祭に合わせて滞在すれば、地域の人たちと親交を深めることもできます。

北海道の真冬に滞在してみる、沖縄の台風シーズンに滞在するなど、あえてその地域の厳しい季節に体験してみるのも一つの方法です。移住者向けの体験居住施設を持っている自治体もありますので、体験したい地域の自治体に問い合わせてみましょう。

過疎化が進んでいる地方では高齢者が多く、話が合わないなどの問題もあります。また、他の土地から来た人を快く思わない人もいるでしょう。しかし訪問や体験を繰り返して、地元の人たちの輪に自分から入っていけば、本格的な移住の成功につながっていくでしょう。