移住はその後の人生を左右する大きな決断です。思いつきと勢いだけで始めると残念な結果になることもあります。なるべく多くの情報を入手して、具体的な移住計画をイメージすることが大切です。今回は、移住を成功に導く3つのステップについてご説明します。

一番始めのステップとして考えたいことは、「移住の目的をはっきりさせる」ということです。水と空気のきれいな信州の山里でパン屋を開きたい、旅行で行った大好きなケアンズの海の近くで暮らしたい、のどかな里山風景が残る田舎でのんびり暮らしたい、など夢や憧れから移住を始めてもいいと思います。

しかし、移住に限らず新しいことを始める場合には、障害はつきものです。住まい探し、仕事、地域の人々との人間関係など、移住してから思いもよらない問題に巻き込まれることだってあります。その壁を乗り越えて移住を成功させるには、「移住の目的」がブレないことと強い意志が必要なのです。

自分がやりたい移住の目的や生活スタイルが固まってきたら、次のステップでは「移住の意思を家族やパートナーに話して理解を得る」ことが大切です。

自分らしく幸せに生きるために移住するのですから、人生を共に歩むパートナーや家族の同意は欠かせません。理解が得られれば、新しい生活を一緒に気付いていく協力者になってくれることでしょう。

特に、子どもがいる家族揃っての移住の場合は、学校の問題もあるので事前によく調べて、家族と話し合うことが必要です。同意を得られないまま無理な計画を実行すると、幸せに暮らすどころか、家族崩壊の危機につながりかねません。

移住をするにあたって一番のネックが生活費です。慎重に考えるべき3つめのステップは「仕事を確保する」ということです。移住先の地方で再就職先を見つけるのは、想像以上に難しいと思っておいた方がいいでしょう。「仕事の確保」は、移住の成功を左右する最も大きなポイントです。

今の仕事を続けながら移住をする、新しく起業する、農業に就いて自給自足の生活をする、など、考え方はいろいろありますが、自分が実現できる選択することが重要です。

海外移住の場合、自分が考える理想の収入を得るには、語学力、学歴、経歴などかなり高いレベルのスキルを要求されます。また、国や地域によって貨幣価値は異なるので、日本では考えられない安い賃金で働かなければならない場合もあります。

生活費がなくなったらその国にはいられません。日本に帰る家があろうとなかろうと、帰国するしかありません。住み始めてから探せばいい、どんな仕事でも構わない、そんな甘い考えは失敗のもとです。

新しいライフスタイルを求めて移住を決めたのに、移住前より生活が苦しくなったり、人間関係で悩むことが多くなったりしたら、移住をしないで旅行した方がマシです。移住を成功に導くには実行力も必要ですが、様々な問題を想定した万全の準備と、余裕を持った蓄えが大切になってくるでしょう。